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自己免疫病はリンパ球が自分自身を攻撃したため
 JUGEMテーマ:がん全般

ところがTリンパ球が決して自己と反応しないとは限りません。自己と反応して自分の細胞や組織を障害することがあります。それが自己免疫病です。それは、免疫システムが自分の細胞や組織を攻撃したためです。その原因は、自分と反応するリンパ球である自己反応性T細胞が、胸腺で完全に除去されなかったためといわれています。


胸腺で自分と反応する自己反応性T細胞が完全に除去され、免疫系が自分とは決して反応しないT細胞だけで構成されているのであれば、自己免疫病は発生しません。ところが実際に調べてみると、体の中には、自分と反応する自己反応性T細胞が排除されずにかなり残っていることがわかりました。


それにもかかわらず、大多数の人には自己免疫病は発生しません。自己免疫病にかかっている人は、全体からみればごく一部の人に過ぎません。それは、自分を攻撃する自己反応性T細胞が体内に存在していても、その細胞が働けないようにする何らかのメカニズムが働いているためです。このように、実際の末梢の組織で免疫が自分を攻撃しないのは、自分に対する免疫寛容メカニズムが働いているためといわれています。その働きが弱まったときに自己免疫病が発生すると説明しています。


胸腺で行なわれている自分を攻撃しないようにするメカニズムを中枢性免疫寛容と呼ぶのに対して、末梢の組織で自分を攻撃しないようにするメカニズムを末梢性免疫寛容といいます。私たちの体は、末梢の組織にあっても、自分に対しては免疫反応を起こさないような仕組みをもっていて、その仕組みが作動することで自己免疫病が起こらないようになっていたのです。


そして重要なことは、同じ末梢性免疫寛容はがん細胞に対しても起こっていたことです。免疫系がこのままである限り、免疫システムが自分のがん細胞を攻撃することはなかったのです。がんの治療が現在でも困難である大きな理由はここにあったのです。

| 免疫反応の本質 | 14:34 | comments(0) | - | pookmark |
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免疫治療専門医 中嶋靖児
中嶋靖児 著

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