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世界は一つ、生きものは全て兄弟
JUGEMテーマ:がん全般

今から三十数億年前、地球で最初の生命体は海で生まれました。それは原始的な単細胞生物でコアセルベートと呼ばれていました。その単細胞生物は、海の中で何億年もの長いあいだ黙々と生き続け、原始単細胞生物として生命を維持していたのです。そこでは、生物は常に倍々に増殖し続けることが運命付けられ、原始単細胞生物は海水中で無限の増殖を続けていたのです。その姿は、がん細胞が常に倍々に増殖する姿と同じで、がんも無限の増殖を続けていたのです。増殖することをやめた古代の生物は、その時点で遺伝子の糸はプツンと切れて、永遠にこの世から消えてしまうのでした。


進化は続き、長い単細胞時代の末に多細胞生物が現われました。遺伝子は次々に枝別れして新しい種が生まれ、海の中には多くの種類の生物が発生しました。更に地上の条件も整い、植物に続いて動物も一斉に上陸を開始し、地球上には多種多様な生物が現われたのです。そして遺伝子も、決して途絶えることはなく、太古の昔から綿々と、生物の細胞の中に受け継がれて現在に至っていたのです。途中から発生した生物などはありません。


話は変わりますが、大腸菌は嫌気性桿菌といって、この地球上に酸素が発生する以前から生存していた単細胞生物です。そして現在は、地球上のどこにでもいる最も一般的な細菌ですが、その大腸菌の核の中にも遺伝子は入っています。そしてその遺伝情報量は、文字に換算すると新聞紙一枚の文字数に匹敵するといわれています。


ところが多細胞であるわれわれ人類も、極く小さな一個の細胞の核の中に遺伝子は入っているのですが、その遺伝情報は大腸菌などよりはるかに多く、優に、一つの図書館の全書籍の文字数に匹敵すると言われています。人類の遺伝情報量がいかに膨大であるか、簡単には想像もつかないほどです。


その遺伝子の本体はDNAという化学物質です。そのDNAに書き込まれてある遺伝情報は、四つの塩基で出来ているのですが、それも化学物質で、それは蛋白のもとになるアミノ酸の配列を指定する暗号コードのようなものです。その暗号コードを解読することによってアミノ酸の配列がきめられ、生物は蛋白を合成することが出来ます。


そうしますと、蛋白で出来ている生物の体は、内部の物質を含めて、すべてその遺伝子が働くことで作られます。遺伝子の上に配列されている四種類の文字によって全ての遺伝情報は書かれていて、その文字を解読することで、蛋白は合成されていたのです。


生物体の基本は蛋白です。その蛋白はアミノ酸で出来ているのですが、アミノ酸は全部で二十種類あります。そうしますと、生物が持っている全ての蛋白は、二十種類のアミノ酸で出来ていることになります。


そのアミノ酸の配列を決定するものが遺伝子です。その遺伝子には四つの文字があって、その内の三つを使って一つのアミノ酸を指定します。そして、その四つの文字をいろいろと組替えることによって、二十種類のアミノ酸を全部指定することが出来ます。このように遺伝子とは、アミノ酸の配列を決定する暗号コードであったのです。


しかも、その遺伝子の文字は、地球上の全ての生物に共通であって、生物はどの生物の暗号コードの文字をも解読することが出来ます。そして生物は、その暗号コードを使って、あらゆる生物の蛋白を作り出すことも可能なのです。それは次のようなことで証明されています。


糖尿病はインシュリンの異状によって発症します。そしてその治療法として、以前は、牛や豚の膵臓から取り出した動物のインシュリンを使っていましたが、それらは人のインシュリンと少し構造が異なるために、アレルギー反応が発生してしまって長く使うことができません。そこで、どうしても人のインシュリンが必要であったのです。


そこで行われた方法は大腸菌に人のインシュリンを作らせることであったのです。インシュリンは蛋白ですから遺伝子の指令で作られます。そこで、インシュリンを合成する人の遺伝子を切り出し、それを大腸菌の遺伝子につなぎ合わせ、大腸菌に人のインシュリンを作らせたのです。そして大腸菌を増殖させることで、人のインシュリンを大量に作ることに成功したのでした。大腸菌であってもその遺伝子は人の遺伝子と共通であったのです。


そうしますと、地球上に存在する二〇〇万種の生物は、全てDNAという共通な遺伝情報を有する同じ種類の生物であるということが出来ます。すなわち、生物は多種多様ではありますが全て兄弟であり、全生物は、一つの生物から枝分かれして発生してきた一つの大きな家族であったのです。

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免疫治療専門医 中嶋靖児
中嶋靖児 著

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