良寛の心が癌を治す ―遺伝子をも動かすプラス思考―
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    良寛の心が癌を治す


          ―遺伝子をも動かすプラス思考―


 


 禅僧良寛は「マリつき法師」とも呼ばれています。それは、「かすみ立つ永き春日を子供らと手毬つきつつ今日も暮らしつ」と、良寛自身がマリをついて遊ぶことを歌に詠むほどであったからでありましょう。子供たちと一緒に、マリをついて遊ぶことの出来る喜びにひたる良寛の純粋な振る舞いは、多くの人々の心をとらえてきたのでした。


 良寛は毎日托鉢に出ています。それは、釈迦が毎日行なっていた乞食(こつじき)の行を自分もすることで、釈迦と一体化しようとした良寛の修行でもあったのです。その托鉢をしているとき、次のような逸話が伝えられています。


 


   良寛さんが渡し舟に乗って川を渡っているとき、川の真ん中で船頭がいたずら心を起こし、舟をグラグラとゆらしました。良寛さんはいつどんなときでも、「けっこう、けっこう」とニコニコしているだけで、決して怒ることがありません。そこで船頭はわざとひどいことをして、怒らしてやろうとしたのです。


船頭が舟をゆらしたせいで、良寛さんはバランスを失い、川に落ちてしまいました。ずぶ濡れどころか、良寛さんは泳ぎが全くできません。たちまち溺れてしまいました。そのままでは死んでしまいそうです。船頭もびっくりして、バタバタする良寛さんを舟に助け上げました。


もとは船頭にわざと落とされたのですから、いくらお人好の良寛さんでも少しは怒りそうなものです。ところが良寛さんは頭をペコペコさせて、「いやあ、ありがとう、ありがとう。お前さんが助けてくれなきゃ、私は死ぬところだったよ。お前さんは命の恩人じゃ」。これには船頭もあきれ果ててしまいました。


 


   それにしても川に落とされながら、落とした張本人にお礼をいう良寛さんの態度を、どのように理解したらいいのでしょうか。いかに良寛さんがぼんやりしていたとしても、自分がどうして川に落ちたかはわかるはずです。ふつうの人ならおおいに怒るところですが、良寛さんは船頭の悪い面には目もくれず、いい面ばかり見て、怒るというマイナス思考には一顧だにしていません。自分を助けてくれたことだけを見て感謝するという極端なプラス思考です。このプラス思考が、不可能を可能にするというのです。


 


世界的に有名な遺伝学者の村上和雄さんは、御著書『生命(いのち)のバカ(ちから)』で、良寛のこの岩をも貫くようなプラス思考の一念は、今まで眠っていた遺伝子を目覚めさせると言っています。しかもその遺伝子が働くことで、それまで不可能であったことを可能にすることができるというのです。その不可能と思われたことの中には、癌を治す遺伝子も含まれているというのです。


この強力なプラス思考が、癌を治す遺伝子を起動させ、進行した癌であってもその癌で死なないようにするばかりか、癌の自然治癒さえも起こし得るというのです。何とも頼もしい限りです。


 


癌を治す遺伝子とは“癌担当リンパ球”の遺伝子のことです。実は、癌はこのリンパ球によって管理されていて、癌が治るためには、このリンパ球にどうしても働いてもらわなければなりません。ところが、その癌担当リンパ球が眠ってしまうと、反対に癌が野放しにされ、癌は大きく増殖してしまうのでした。


 


丸山ワクチンを注射したり、キノコを食べたら癌が消えたという話をよく聞くことがあります。それは、これらの物質が直接がんを攻撃したのではありません。これらの物質の成分が、癌担当リンパ球の遺伝子を刺激して目覚めさせ、リンパ球を活性化させたからです。そのリンパ球が癌を攻撃したのです。


 


また、どんなに大量の放射線や抗癌剤を使っても癌を駆逐することが出来ないのは、そのように大量の放射線や抗癌剤を使うと、癌ばかりか、癌担当リンパ球も一緒に破壊されてしまうからです。癌担当リンパ球が死んでしまっては癌を退治することは出来ません。そのために普段行われている癌の治療では、リンパ球が死なない程度の量の放射線や抗癌剤を使っていたのです。治療中に患者の白血球の数を調べるのはそのためであったのです。


 


ところで、人の遺伝情報は30億にも及ぶヒトゲノムと呼ばれる暗号文字で書かれています。その内の、タン白質をつくる指令を出している部分を指して遺伝子と呼ぶのですが、その遺伝子の数は三万二千個ほどで、それは全遺伝子情報のわずか3パーセントにすぎません。ほかの97パーセントの遺伝情報は、実は何をしているか良くわかっていないのが実情です。しかも、常に同じ働きを続けている遺伝子もあれば、逆に眠っている遺伝子もあると言います。


遺伝子は、何かのきっかけで、それまで眠っていた遺伝子が急に目を覚まし、にわかに活動を開始する一方で、逆に活動していた遺伝子が急に休眠してしまうこともあるといいます。


   現に癌細胞は、今まで正常であった細胞の中で眠っていた癌遺伝子が、あるとき突然に目を覚まして、活動を開始したために発生した細胞です。細胞の性質がこのように変わってしまうのも遺伝子の仕業であったのです。


 


しかもその遺伝子は、心が大きく感動することで活動を開始することがあるといいます。心のもちかた、つまり、心が好ましい状態に置かれると、そのことだけで、今まで眠っていた好ましい遺伝子の眠りを覚ますことが出来ると言うのです。


プラス思考が好ましい遺伝子のスウィチをONにします。そしてその好ましい遺伝子の中には、癌をはじめ、いろいろな病気を治す遺伝子も含まれ、そこには癌担当リンパ球の遺伝子も含まれていたのです。それどころか、その好ましい遺伝子の中には、命を延ばす遺伝子さえも入っていたのです。


 


実際に医療の現場では、癌に負けないという気持ちを持ち、常に前向きに物事に当たっている人が癌を克服し、初めから癌で絶望してしまった人との間に、大きな生存率の差のあることはよく知られています。たとえ癌にかかったとしても「私は治るんだ]と思っている人と、「もうダメだ」と思ってしまっている人とでは、癌細胞の増殖速度までに大きな違いがあったのです。


 


がんが進んでしまっても長生きはできる」、これは今年5月に私が出版した本の題名です。そこでは、若い健康な人のリンパ球を使った癌の治療法について述べています。他人のリンパ球を注射することで患者本人のリンパ球を活性化さ、その活性化した自分のリンパ球で癌の治療をしようというのです。


 


癌が進んでしまっても助かる道は、決して癌を消滅させることではありません。癌はそのままでも、その性質を変えておとなしい癌にすればいいのです。


それなのに今までは、どんなことをしても癌の性質は変えることは出来ないと言って、命を助けるためには、癌を全滅させるしかないと考えてきました。そして実際に、癌の全滅作戦は行われてきたのです。


ところが癌も生き物です、攻められれば攻められるほど意固地になって抵抗します。そして、初めのうちは普通の治療で効いていた癌も、しまいにはどんな治療も効かない不死身の癌に変身してしまいます。こうして癌は「不治の病」になるのです。


癌が一旦進んでしまうと、どんなに強力な治療をしても命を救うことは難しくなります。攻めるだけの治療では、癌を退治することは出来なかったのです。


 


この講演では、どのようにしたら癌の性質を変えて、おとなしい癌細胞に変身させることが出来るかについてお話しをします。癌細胞の倍々にふえる性質や、癌細胞のどこへでも転移する性質を変えて、おとなしい癌にすることが出来れば、癌を無理して攻める必要はありません。


それどころか、抗癌剤や放射線の治療が効かなくなって「これで治療は限界です」などと言われても、あきらめる必要はありません。なぜならば、癌はそのままであっても、その癌の性質を変えておとなしい癌にすれば長生きは出来るからです。要は、癌を変化させ、命が脅かされない癌にすればいいのです。


 


癌が進んでしまって、現代医学をもってしても打つ手がないといわれたとしても、まだまだ方法はあったのです。私たちは、他人のリンパ球を使う方法で、その癌の性質を変化させましたが、太古の昔から人々が行ってきた祈りの中にさえも、癌の性質を変える大きな力はあったのです。どんな方法を使ったとしても、大切なことは、“癌担当のリンパ球”を活性化させることであったのです。


 


                  第35回「良寛を語る会」講演資料


                  95日、群馬県生涯学習センター


                  URL http://www.dr-nakajima.jp


                  中嶋靖児

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免疫治療専門医 中嶋靖児
中嶋靖児 著

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